株式投資を始めたばかりで、「配当性向」という言葉を耳にして、どういう意味だろう? と感じている方もいるのではないでしょうか。配当性向は、企業の株主還元に対する姿勢を知る上でとても大切な指標です。
この記事では、初心者の方にも分かりやすく配当性向について解説していきます。
- 配当性向ってなに?と思っている人
- 配当性向の見るべきポイントが知りたい人

この記事を読むことで、配当性向から読み取れる事や配当性向を見るときに注意すべきポイントが分かります。
配当性向とは?
配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、どれくらいの割合を配当金として株主に還元しているかを示す指標です。
計算式は以下のようになります。


例えば、1株当たり当期純利益が100円の企業が、1株当たり配当金を30円支払う場合、配当性向は30%となります。



つまり、配当性向が30%というのは、「利益の30%を株主への配当に回しましたよ」という意味になります。
配当性向から何がわかるの?
配当性向を見ることで、以下2点を推測することができます。
- 株主還元への積極性
- 企業の安定性
株主還元への積極性
- 配当性向が高い企業
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稼いだ利益を積極的に株主へ配当として還元しようとしている企業と言えます。株主としては嬉しい傾向ですね。
- 配当性向が低い企業
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稼いだ利益を内部留保したり、将来の成長のための投資に回したりする傾向があると言えます。
配当の安定性
- 配当性向が極端に高い企業(例:80%や90%など)
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利益のほとんどを配当に回しているため、もし業績が悪化して利益が減ってしまった場合、配当を維持することが難しくなる可能性があります。つまり、減配(配当金を減らすこと)のリスクが高まります。
- 安定的に配当を出し続けている企業
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業績が多少変動しても、無理のない範囲で配当を支払えるような、バランスの取れた配当性向であることが多いです。
どんな会社がどんな配当性向になりやすい?
一般的に、以下のような傾向があります。
成長途中の企業
利益を事業への再投資に回し、さらなる成長を目指すため、配当性向は低め(0%〜20%程度)であることも珍しくありません。
成熟した企業や安定企業
安定した収益があり、事業への大規模な投資が一段落しているため、配当性向は高め(30%〜50%程度)になる傾向があります。中には、それ以上の配当性向の企業もあります。



大切なのは、その企業の配当性向が「なぜその水準なのか」を考えることです。
配当性向を見る上での注意点
配当性向は、その会社の状況や戦略によって適切な水準が異なります。見る際には以下の点も考慮しましょう。
- 業種や業界の比較
- 会社の成長戦略
- 一時的な要因
- 赤字決済の場合
- 配当性向で判断しない
業種や業界の比較
業界によって利益率や成長戦略が異なるため、単純に他の会社の配当性向と比べるのではなく、同じ業種・業界の会社と比較するとより分かりやすいです。
会社の成長戦略
その会社が今後、事業拡大を目指しているのか、それとも安定した経営を目指しているのかによって、理想的な配当性向は変わってきます。
一時的な要因
たとえば、特定の年に大きな利益が出たからといって、来年以降もその配当性向が続くとは限りません。
その期の利益が一時的に大きく変動した場合、配当性向も大きく変動することがあります。
過去数年間の推移を見るなど、長期的な視点で確認しましょう。
赤字決算の場合
企業が赤字(当期純利益がマイナス)でも配当を出すことがあります。この場合、計算上、配当性向はマイナスになったり、とてつもない高水準になったりしますが、これは「利益以上の配当を出している」状態であり、持続可能性は低いと言えます。
配当性向だけで判断しない
企業の財務状況(自己資本比率など)、キャッシュフロー、将来の成長戦略なども合わせて総合的に判断することが重要です。
まとめ:配当性向は会社の「株主への向き合い方」を知る手がかり
配当性向は、企業が稼いだ利益をどれくらいの割合で株主へ還元しているかを示す重要な指標です。これを見ることで、その会社が「株主還元を重視しているのか」それとも「会社の成長のための投資を重視しているのか」という、会社の考え方や戦略を読み取ることができます。
配当性向だけでなく、会社の業績全体や今後の見通しなども含めて総合的に判断することが、賢い株式投資には欠かせません。
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